最新 - 英語プレゼン

さすがにきょうはぐったり。1週間の社内イベントで技術的な内容に関する50分のプレゼンをしました。まあこれだけならいつもの話ですが、テーマが包括的だったためにものすごい数のスライドとなったわけです。しかも前日まで気がつかなかったという信じられない状況。3週間前にスライドの提出を強要され、とにかくテクニカルなことをいかに簡素化して説明するか、しかも技術がわかっている人にもそれなりに楽しめる内容に・・・と、とにかく中身だけに思いっきり集中していて、スライドの枚数なんて一切気にしていませんでした。通常、プレゼンの練習とか、スピーチのシートを用意したりとか、そんなものは一切しません。とにかく寝る前にイメージトレーニングを繰り返すのが流儀です。ところが、前日ふとスライドの数を数えたら54枚。余計なものをのぞいても50はあります。ってことは1分1枚?? 1時間のプレゼンでも30枚くらいにしているのが、さすがに、毎分1枚というのはたぶん経験がないと思います。この1分というのは本当に微妙です。簡単なポイントであれば30秒でこなすようなこともあります。しかし、話し込み始めたら3分とか簡単にいってしまいます。毎分1枚・・・これで一気に緊張が走りました。たぶん、生まれて初めてプレゼンの事前練習をやったと思います。ベッドで横になりながらも、実際に声を出してやってみます。恥ずかしいなんて言ってられません。まずはいつもの調子でさらっとやってみる。3分の1ですでに30分。サバいっ!手が震えてきました、ホント。そのうちもっと最悪なことに気がつきました。質問時間を10分は用意せよとの主催者側の要求があったわけです。それでなくてもやはり10分くらいは質問にさかないといけないわけですが、じゃ中身は40分?毎分1枚どころの騒ぎじゃないじゃないの?鎮痛剤の興奮と、焦りからくる緊張があい混じって、夜中に一人フィーバーしてました(オヤジがバレバレ)。
とにかく考えました。即席の英語プレゼン術を。まずは完全に話の流れをコントロールしないといけません。そのために、

  1. 冗談、ウケ狙い、余計な例え話は一切禁物。極厳禁!
  2. 「10秒」スライドをきっちりと決め、ほんとうに10秒で次に移る
  3. システムのデモは「事後画面」を用意して、極力クリックやデータ表示は避ける(ちょっとの失敗=プレゼン撃沈となるため)
  4. リモートコントロールの完全利用

まず、冗談禁物はたぶん僕だけのルールでしょうね。好きなんですよ、笑いを取るのが。このためにプレゼンやっているようなもんです。ところが笑いを取ったらまた「替え玉」のように後追いしたくなるもんで、まあ時間の無駄使いったらありゃしません。ということで笑いは厳禁。
「10秒スライド」というのは今回発案。例えスライドにドバーっと書いてあっても、10秒で次にいきます。秘策は次の4点。
1)「そのスライド全体のまとめ的な話をして、決して中身をなめるように話さない」・・・聴衆はスライドを見ながら、自分のまとめの説明を聞くわけですが、はっきり言って同時理解は無理。通常は禁じ手ですが、仕方ありません。
2)前のスライドとの関連が強い場合は、前のスライドですでに中身の一部に触れ、そのスライドに移った瞬間に、So, these are what I just touched upon.(これらが今触れた点です)と言ってさらに次のスライドに移る。内容を飛ばしたということはまずばれない。
3)OK, I'll get back to these points later, so let me move on.(これらはまた後で触れるので、とりあえずは次に進みます)と言う。とても微妙ですが、ほとんどの場合はウソになる。ところが、後になって「あそこで、後で触れるって言ったじゃん」とかクレームがつくことはほとんどないので、中身が薄いスライドについてはこれで対処できる。もちろん本当に後で繰り返しで出てくるようなスライドがあれば、堂々とこれで対処すればよい。
4)「飛ばす」と正直に言う。たとえば、Well, I need to rush, so let me skip this one. But I'll touch some related points later.(えー、急がないといけませんので、このスライドは飛ばして次に行きます。後ほど関連したポイントで触れさせていただきます)など。ポイントは、飛ばすとだけ言わないこと。必ず、「後で触れる」ということ。飛ばすことに不安を感じさせないのがポイント。
これでイケると感じました。最も難しいのが(1)ですね・・・。
「事後画面」というのは、先にアプリケーションを立ち上げ、見せたい場面を事前に用意しておくこと。聴衆の間に重た〜い疑念を生むことは間違いありませんが、一定の信頼を受けている場合は大丈夫でしょう。もちろん「それ、実際に検索してみてくれますか?」というような意地悪な要望が出ても大丈夫なようにしておかないといけません。ですから、これはウソではなく、あくまで準備のひとつということでやらないといけません。Webアプリの場合は、タブをうまく利用して、いくつもセッションを開いて用意しておきます。あとはタブを切り替えるだけです。Client Applicationの場合はちょっと難しいですが、いくつか紹介場面がある場合は、一番面白いところは本当のアプリでやって、あとはスクリーンショットを取ってスライドに張っておきます。そうするとハイライトのところだけアプリを使えばよいので、失敗する確率はかなり抑えられます。この事前画面というのはとにかく失敗を避けることです。Webアプリなんかで、プレゼンやっているときに接続が切れたとか、セッションがexpireしたとか、そんな経験はざらにあります。いったん事故が起きると3分や5分、簡単に吹っ飛んでしまうわけです。これこそが避けなければいけないことなのです。
最後の、リモートを使うということですが、スライドの切り替えで、いちいちマシンに歩み寄っていたら、そこでブレークができてしまいます。これがまた積もると意外に大きい時間ロスとなります。僕は自分でPresentation Mouseというスライド切り替えのリモート機能を持ったマウスを持っているので、これを使っていますが、たまに会場に設置したマシンを使わないといけない場合があります(今回がそう)。そんなときは面倒くさがらずに、リモートを探して(あるいは要求して)、必ず使うようにします。
まあ、こんなことを考えながら2時間はやりました。ほんと必死です。ようやくめどがたち、夜中に寝ました。興奮で眠れないかと思いましが、疲れて逆にぐっすり。さて、本番はどうだったでしょう?これがまたばっちりだったんですね。ウケ狙いを完全に封じ込めたのが成功でした。43分とちょっと出ましたが、質問時間もきちんと用意でき、話もめちゃくちゃスムーズにいきました。実際に声に出して練習するのっていいですね。イメージトレーニングよりははるかに確実にプレゼンを成功に導くことができます。
さて、プレゼン後の聴衆の感想・・・「いや〜すごい量の情報だったね。でも面白かったよ!」。やっぱりスライド多すぎたよね・・・。スライドは2分に1枚のペースで、笑いの一つも取れるような余裕を持って作るのが得策ですね。勉強になりました・・・。