どうぞよろしく

「仕方がない」に続き、よく言うけど、どうやって言うのかわからない表現をもういっぱつ!ずばり「どうぞよろしくお願いします」。これはいろんなところで書かれているから、ご存知の方も多いでしょう。結論から言うと、それとまったく同じ概念が英語にはない、ということですね。

では、まったくないか、というと、近い概念はもちろんあります。よく紹介されるのが、I'm looking forward to working with you.直訳では、「いっしょに仕事できることを楽しみにしています」という中学だか高校だかで習った構文(久々に口《?》にしました)です。

もっと単純化してしまえば、会話やメールの別れ際は未来形表現で終わる、という普遍的な会話法則を活用すればいいだけの話です。ですから、I will see you.にも「よろしく」の意味をもたせることができます。文脈に応じての話ですが…

一番よろしくないのが、「どうぞよろしく」を日本語で一度置き換え、「私がうまくいくように、あなた便宜を図って何かしてね」、つまりPlease do whatever you find it appropriate for me.とか何とか、「うそー!これって、《よろしく》の直訳だよな!」と日本人にはすぐわかってしまう表現です。これが一番だめでしょう。

(英)会話を軽んじているような発言をする人をよく見かけますが、私は、いろいろなコミュニケーション・モード(スピーチ、ディスカッション、交渉などなど)の中で、会話が一番むずかしいと思っています。もちろん、私自身が口下手ということからくるのではありますが、会話は、常に進行方法がlocally determined(会話分析研究で使われる言葉です。出典は追ってご紹介します)するためです。その場、その場で、誰が発言し、誰が応答し、テーマを決め、それにしたがってどのような話し合いがおこなわれるか、自然とそのグループ(あるいはふたり)で決まっていくからです。これは、改めて考えると、すごいことなんですよ!