どの辞書をどの順でひくか

辞書と言えば「英和」か「和英」しか知らず、どんな辞書をひくかを問うたことがない人が多いのではないでしょうか。今ではオンライン辞書が豊富で、辞書を買ったこともない、という方がそのうち世の中に溢れるはずです。そうでなくとも、紙の辞書は買ったことがない、つまり辞書は電子辞書というのが現代の若者世代です。

電子辞書というが曲者で、インストールされた辞書しかひかなくなってしまう。しかも、英和、和英、国語辞書の組み合わせが決まっているので、なんとなくみな同じ方向にひきつけられるようです。これは、オンライン辞典のWikepediaが巻き起こした同時多発誤解事件の辞書版です。試験で参照した本の記述が間違っていたのに気づかず、かなりの人がそのまま書き写し、結局、大半が間違いとなる。辞書の場合、間違いまではいかないでしょうが、語感とでもいうものが、右向け右になっているのは大学で教えている私が特に感じる現象です。

どの辞書をどの順でひくか。これが今回のテーマですが、私はとにかく辞書はひくな、と言いたいです。これについては後に譲るとして、では、とにかく辞書をひきたいのなら、どの辞書をどの順でひくか、ということについてまとめておきましょう。

①(ワープロの)類義語辞典→②英英辞典→③英和→④和英

仕事の契約書なのでこの単語は逃せないとか、どうしても英和をひかねば、という場合を除いて、上の順序で辞書を参考にすると、使える英語を身につけることができるでしょう。

一語一訳の癖を冗長させてしまう、英語の言い換え訓練にならない、という理由から、すぐに英和に飛びつくのはお勧めできません。まずは類義語辞典で、英語の単語だったらどのような類義語があるかを調べます。そうすると、自然に英語の言い換え練習になります。だから、次に同じようなことを言いたい時にも、類義語にバリエーションがつき、一語忘れても、似た言葉で代用させることができるのです。類義語辞典が便利なのは、調べている単語よりはやさしい単語が表示される点です。英英辞典では、辞書をひいて定義を読んでますますわからなくなることがあります。一方、類義語辞典だと、やさしい単語がリストされるので安心です。その単語一覧を眺めるだけで、単語のおおよその意味がつかめるでしょう。

類義語辞典で意味がわからない場合、またはさらに正確な意味を知りたいという欲張りな方には、ここではじめて英英辞典を参考にしましょう。