going forward

研究の話が出ましたが、研究で「無知の知」が持つ力というのも見逃せません。「知ったからこそできなくなる研究」というのもあるのではないかと、常々思います。今やっている自然言語処理というのは機械翻訳音声認識といった桧舞台が中心ですが、その下地となる技術や理論は幅広いものがあります。私はそんな基礎研究をしっかりとやったわけではなく、エンジニアの観点から実用化できる技術や理論がないかあさっているわけです。いままで手がけてきたもののほとんどが、その道では「邪道」的なものが実は多いですね。つまり、本来はそんな使われ方を考慮したようなデータではないのに、強引に別な目的に使うというようなケースです。納豆をデザートに使うようなもんでしょうか。自分はとにかく解析データをざーっと見渡して、これは使えると思ったものを掘り下げているだけなのですが、本筋の研究者は後でそれを知って、「まさかそんな使い方があるなんて・・・」というケースがほとんどです。たぶん、本筋をよく知っていて、どんな目的で解析されたか知っていたら、もしかすると自分もそんなことはしなかったかもしれないわけです。知らないからこそ、恐れずに手を出すということで出てくる結果もあるわけで、自分はこれが強みだと思い込んでいますね(勉強しない口実かも・・・)。きっとこれからも「傍流主義」でいくのでしょう。
さて、「これから」というと、すぐに「将来は」と考えて、in the futureいうフレーズがすぐに口から出てしまいがちです。タイトルにあるように、going forwardというフレーズを使うともっとしっくりするケースがあります。例えば、「それはこれからの議論でも大切な点だ」というとき、
It will be an important point in the future discussion.
でもいいのですが、
It will be an important point in the discussion going forward.
という表現も使えます。こういった「後付け表現」というのは、実はスムーズに会話をする上で大切なのです。最初の文章を言うとき、はっきりとfuture discussionという表現を作ってから出ないといえませんよね。ところが、2番目の表現なら、まずはin the discussionと言ってから、going forwardと追加できるので、「考えながら話せる」表現なわけです。こういった言い回しが身についていないと、常に「先決め表現」しかできず、考えてから(考えながら、ではなく)表現するというペースにしばられてしまします。
いろんな表現を勉強するときに、こういった「後付表現」としては何が考えられるか調べてみるのもいいかもしれません。